海事産業強化法改正を受けた本県の姿勢
造船業復活に向けた取り組み(国の海事産業強化法改正)
中村たいすけ
今年2月に国において、「海事産業強化改正法」が可決されました。
造船業が基幹産業である本県において歓迎するものですが、事業者側からは、残念ながら遅いとの声も聞こえています。
大手造船所が不振を極める中、今まさに県内造船業再編の時です。
改正法には、生産体制の抜本的見直しという内容があり、拠点ごとの役割の明確化を求めています。
例として、A拠点で船体ブロックを製造し、B拠点で配管等の艤装や組立を行う例が示されています。
以前、私は、造船業で韓国調達の仕事をしていましたが、今や世界一と言われる韓国の造船業では分業が進み、改正法のような拠点ごとの役割が明確です。
専業のブロック工場や艤装工場が大手造船所の周りに並び、次々に大手造船所に供給していきます。大手造船所は、それを大型クレーンで組めば船が完成するという具合で、日本より効率化が進んでいます。
本県の中手造船所のブロックの多くもブロック会社に発注されていますが、実は、発注先はほとんどが県外です。
県外に発注すれば海上輸送費も高く、コスト改善の余地は大いにあります。
造船業再編の中、使用度が低い設備を活用し、ブロック製造を県内で取り組む事業者も出てきています。
また、改正法の中には、設計人材不足についても触れられていますが、本県では、中小造船の設計人材が不足し、大手造船の設計人材は過剰となるアンマッチも生じ、設計人材不足も県内造船業の課題です。
今回の海事産業強化法案が改正され、今後、費用面などのインセンティブも期待されます。
かつてない造船業の再編の中、県内造船業の事業者と一体となって、改正法を活用した取組を進めるべきと考えますが、改正法の見解と併せて、設計人材不足の見解をご答弁願います。
産業労働部長
県におきましては、日頃から県内造船事業者と意見交換を行うなど、きめ細かな支援施策の構築に努めており、昨年度の補正予算におきましても、造船業を含む県内企業の設備投資等に対する支援措置を講じてまいりました。
一方、国においては、海事産業の基盤強化に向けた法改正を行い、資金融資や税制特例措置等の支援措置を新たに講じておりますが、県内造船事業者からは、「設備投資等への補助支援がなく、十分な支援内容ではない」との指摘を伺っていることから、県において、設備投資等への支援強化を図ることといたしております。
今後とも、国の支援施策の動向を注視しつつ、各事業者の状況等も踏まえながら、必要な支援を検討してまいりたいと考えております。
次に、設計人材の不足についてのお尋ねでございますが、国においては、造船業の持続的発展に向けた課題の一つとして、設計など専門人材の育成が不可欠とされており、また、県内造船事業者からも、「設計人材が不足している」との声を伺っております。
そのような中、県では、規模拡大を目指す造船事業者に対して、設計人材をマッチングするほか、人材育成に要する研修や講師派遣等の経費についても支援を行っているところであります。
中村たいすけ
昨年6月定例会で製造業の支援を要望し、答弁をいただきましたネクストステージ補助金が実施されました。
今議会では、第3弾が予算議案となっております。
また、昨日の長崎新聞一面でも、「海事産業強化法改正」において、大島造船所が全国4者の計画認定制度で認定されたとの報道がなされました。
本県の造船業の未来についても、今後も、関係者と県とも連携しながら進めてまいります。